住宅シミュレーション~北側斜線制限~

 

 不動産屋さんの土地情報チラシをみると、「用途地域=1低層」「用途地域=準工業」などの表記があります。

 「用途地域」は、文字通り一般住宅が建設できる地域、工場が建設できる地域、などその地域の特色を表すものです。
大きく分けると、住居系、商業系、工業系の3つに分かれます。 
一般住宅は「工業専用地域」以外でしたら建築できます。
住居系用途地域は細かく細分化されていて、「1低層」「2低層」「1中高」「2中高」…などは全部住居系です。
『住』の文字が入っていなくても、『商』『工』の文字が入っていない用途地域は住居系と判断していいでしょう。

 ちなみに「1低層」は「第一種低層住居専用地域」、「2中高」は「第二種中高層住居専用地域」の略です。
低層よりも中高層のほうがより高い建築物が、1種より2種のほうがより大きな住宅以外の店舗等が建設できます。
店舗のない閑静な住宅街を希望されるのであれば、「1低層」の用途地域がおススメです。

 「1低層」「2低層」(&「田園住居地域」)に高い建築物が建てられない制約のひとつに、「北側斜線制限」があります。
自分の家の北側のお宅の日当たりを確保するために、自分の敷地北側に高い建築物を建てられない制約があるのです。
数字で表すと、自分の土地の北側の境界線から
・5m上に行って
・真南に1mそこから上に1.25m
という角度で作った仮定の面から出る建築物を建ててはいけません。


 こういうのは図で見てみると一目瞭然です。
「1低層」の分譲地で、右が南、左が北です。
おじさんの立っている右隣りの土地の建築物を建ててはいけない仮定の面が、黄色の面です。

 おじさんが建っている右の土地にどんな家が建てられるかシミュレーションしてみましょう。

 南側の庭をめいいっぱい確保して、家は北側ギリギリに配置、
太陽光発電したいので北側に高い片流れの家を建てようとすると…

 建ててはいけない面に、おもいっきり家が被ります。
こういう家は建てられません。
北側に少し余裕を持たせた配置に、切妻の家が建つと予想できます。

 分譲地全体が「1低層」なので、同じような法則で家が建つと仮定、全宅3D化し、
影の動きをシミュレーションできたりもします。

 不動産屋さんだったらきっと、「1低層は高い家が建てられない住居地域」くらいの説明しかないでしょうが、
建築士だったらここまでシミュレーションできちゃいます。
この分譲地のなかだったらここの土地がいいかな、と選べますね。
土地探しは、是非建築士と一緒に行いましょう。

 〇〇斜線制限、●●用途地域、はまだまだいっぱいあります。
細かいコトは建築士に任せ、あまり用途地域は気になさらずに、気になる土地をどんどん見つけてきてください。