住宅シミュレーション~北側斜線制限②~


  用途地域が「1低層(前回のコラム参照)」の土地は、
北側斜線制限があるので高い建物が建てられなく、日当たりのよい住みやすい地域とされています。
どのようなケースでも、本当にそう言えるでしょうか?

 分譲地でこのような家々が建ち並んでいるとします。
セオリー通り、道路側と南側(画面左)をいっぱいひらいた場所に家を建てるでしょう。
 大晦日の正午の影をシミュレーションすると下図のようになります。


 一番右側のお宅は、南隣の片流れのお宅の影で2階まで真っ暗です。嫌ですね…。
でもここが1低層、北側斜線制限のある土地ですと、北側斜線制限ライン(黄色線)が発生します。


 こうなると、北側ギリギリに建てた片流れのお宅は法的にアウトです。
このような家は建てられません。
北側のお隣さん宅の日当たりは守られそうです。

 道路側が南の場合。
道路側いっぱいあけて、北側の敷地ギリギリに建てるのがセオリーですが、
こちらの4軒はすべて北側斜線制限ラインにひっかかってしまいます。

 北側斜線制限ラインに沿うように、屋根の向きを変えればクリア出来そうです。

4軒ともクリア出来ました。(アングルが逆方向に変わっています。ご了承下さい。)

 法的にクリアした建物なので、すべてのお宅の日当たりは確保されたでしょうか?
大晦日の午後3時、まだお日様の暖かさがほしい時間の影シミュレーションです。

 片流れのお宅の東側の家は、上から影がどんどんせまってきてますね…。
法的ラインギリギリの大きさの家が建ってしまうと、
北側斜線制限があっても全宅の日当たり完全確保はできないですね。

 最終的には用途地域云々より、各お宅のお施主様が周囲に気を遣う家案を採用するかが大事です。